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安全性を重視したバイクパッキングのコツ

自転車キャンプの基本となるバイクパッキング。いろんなものを積載したくなりますが、事故のリスクを減らすためにも安全性を重視したバイクパッキングをする必要があります。

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自転車の安全性とは何か?

自転車の安全性の基本は「止まる」「曲がる」

荷物を運んだり、徒歩よりも速く目的地に辿り着くことができる自転車。自転車は「走る」という機能以外も「止まる」「曲がる」という機能があります。この「止まる」「曲がる」というのは安全性において非常に重要です。

自転車において「止まる」「曲がる」を実現するのは、

  1. 曲がる:ハンドル・フォーク
  2. 止まる:ブレーキ・レバー・ホイール

です。

バイクパッキングで安全性を高めるためには、これらの動作に不具合が起きないように配慮することからスタートします。

自転車はすっぴんの状態が一番安全

バイクパッキングの話をする前にもう一つ知っておきたいのが、自転車はすっぴんの状態一番安全ということです。自転車の「すっぴんの状態」というのは、バッグなどを取り付けない、買った時のままの状態です。

これは、自転車メーカーが使用する上で安全性を確認しているのがすっぴんの状態(売った時の状態)だからで、バッグをつけたり、キャリアをつけたりというカスタマイズは、メーカーの想定する安全な状態から離れていくということを理解しておきましょう。

自転車はフロントのトラブルが最大のリスク

自転車に乗っていると自転車全体で乗っている感覚になりますが、転倒などの事故リスクを考えると、圧倒的にフロント(前輪側)に関するトラブルの方が、重大な事故の可能性が高くなります。

自転車は前に進む乗り物ですので、重心的に後輪は「後ろから押す存在」ですが、前輪は「前に突き進む存在」なので、トラブルがあると自分がそのまま前に突っ込んでしまいます。前に突っ込む怖さは、説明するまでもないでしょう。

前輪絡みのトラブルは、「止まれない」「曲がれない」でそのまま道路に突っ込んだり、顔面から落車をしたり、ブレーキングロックで宙返りをして頭を打ったりと、重大な大事故に繋がりやすいトラブルです。

一方で、後輪に何かのトラブル、例えばサドルバッグや後輪に巻き込んだとしても、後輪を引きずってスリップしたり、横に倒れて転ぶかもしれませんが、乗車している人の状態は正常なことが多く、前に突っ込みやすい前輪に比べたら重大な事故には繋がりにくくなります。

安全性を高めるためのルール

フロントの動作を邪魔しないパッキング

先ほど、自転車のフロントのトラブルを回避すべきという話をしました。トラブルを回避するためには、フロントの機能をしっかり確保するというのを意識しましょう。

フロントの機能で大事なのは、

  1. ブレーキレバーを引く
  2. 左右のハンドリング
  3. 腕で姿勢を支える

という3点で、これらを注意すべきはバッグの取り付け時です。

フロントフォークに荷物を取り付けたことによってハンドリングの幅が狭くなったり、ブレーキの動作に干渉したり、レバーを握り辛くなったりしていないかをチェックしましょう。

また、サイズが大きいフロントバッグを取り付けると、タイヤやブレーキに干渉することもあるので取り付ける時に注意しましょう。取り付け時に使うベルト系も、長すぎた部分がブレーキやホイールに巻き込まないかチェックしましょう。

フロントに重量物を積載すると、ハンドリングが重くなって誤操作を誘発します。ハンドルバッグなどに荷物を積む際は、なるべく軽いものを積載するようにしましょう。

重いものはフレーム・サドルに

自転車はサドルとサドルを支えるシートポストを通じて、フレームとホイールで乗車する人の体重を支えています。そうした構造上、フレームは「一番荷重に強いパーツ」です。

キャンプギアの中でも重量があるギアは、フレームバッグを利用してフレームで支えるようにしましょう。フレームであれば、たとえ10kgのギアであっても耐えられることがほとんどです。なぜなら、自転車メーカーはあなたの体重が10kgくらい増加する可能性は十分に考慮しているからです。

同様に、フレームに荷重を与えるサドルバッグにも、ある程度重いものを搭載して問題ありません。ただし、サドルバッグはサドルで支えるので、あまり重いとタイヤの上に落ちてくるので、その点を注意しましょう。サドルバッグは、シートポストの突き出しの長さが短いとブレーキに干渉するので、その点も気をつけましょう。

リアキャリアを使う場合は、後輪にも荷重が分散するので、ホイールが耐えられる重量をチェックして収納を選びましょう。

安全に配慮した自転車キャンプ・パッキングの例

ここではクロスバイクで自転車キャンプをするとして、バイクパッキングの例をあげてみます。

積載は、

  1. フロントバッグ(10L)
  2. フレームバッグ(10L)
  3. サドルバッグ(10L)
  4. リュック・ザック(10L)

の合計40Lとします。徒歩キャンプでも比較的ライトな容量ですが、無理ではない範囲です。

フロントバッグに入れるもの

まずは安全性で一番重要なフロントバッグを考えてみましょう。フロントバッグは、「ブレーキレバーの動作をしっかり行えるサイズ」のものを選びましょう。

フロントバッグは、なるべく軽くてフロントバッグの中で中身が動かないものを選びます。自転車の乗車中にフロントバッグの中身が左右に移動すると、ハンドルを取られて非常に危険です。

候補としては、

  1. 寝袋
  2. テント
  3. 洋服

あたりになりますが、サドルバッグやフレームバッグに収納しづらい「寝袋」をフロントバッグに入れるのがベストでしょう。寝袋は1kgくらいが多く、形も定まっているのでフロントにあっても邪魔になりません。ただし、レバーの邪魔にならないサイズの寝袋であることは大前提です。

フロントバッグは寝袋を入れたらほぼおしまいになるはずですが、ウルトラライト系のギアの場合は、テントも一緒に積載できるかもしれません。

フロントバッグの上や下に銀マットを取り付けたいところですが、ハンドリングの邪魔になるのでオススメはしません。

フレームバッグに入れるもの

重量物を積載できるフレームバッグには、重いものを積極的に載せましょう。ただし、幅がありすぎると、ペダリングの時に太ももに当たって不快なので、なるべくコンパクトにしまえるものをチョイスします。

  1. テントポール
  2. クッカー
  3. バーナー・ストープ
  4. チェア
  5. 焚き火台・ストーブ

などは、重量があって、ある程度幅が調整できるのでフレームバッグ向けです。そのほかには、モバイルバッテリーやランタンなどもここに入れても良いでしょう。

フレームバッグは細かくて重量があるものが多いので、ケースなどにしっかりと収納して、フレームバッグ内で暴れないように工夫をします。

サドルバッグに入れるもの

サドルバッグは容積もあまりなく、重さにも制限があるので、意外とパッキングが難しいバッグです。

サドルバッグに入れるのは、

  1. テント
  2. グランドシート
  3. 自転車修理キット

などが良いでしょう。フロントにテントを収納できる場合は、洋服などを追加しても良いでしょう。サドルバッグの上には、ベルトなどを使ってマットを取り付けましょう。

自転車では自分の体はサドルより後ろには行かないので、リアはある程度ごちゃっとパッキングしても大丈夫ですが、「サドルバッグが左右にゆれないか」だけは確認しましょう。左右に揺れると安定性が極端に下り、危険です。

ザックに入れるもの

残りのものはザックに入れます。ライド時の肩や腰への負荷を考えるとザックを含めて2kgくらいに抑えたいので、中身は1kgくらいが目安です。

ザックには、

  1. 着替え・洋服
  2. インナーシュラフ
  3. タオルなどのアメニティ

などを入れておきます。これなら真冬でなければ1kgくらいに収まるはずです。

これだと10Lのザックはスカスカになるかもしれませんが、ここに現地調達の食材や飲み物を追加していくイメージ。帰りは、キャンプ場で出たゴミをザックに入れます。

バッキングが出来たら最終確認をしよう

バイクパッキングが完了したら、必ず最終確認をしましょう。

ブレーキの操作やハンドル操作などもそうですが、自転車を上下左右に動かしてみて、バッグがしっかり自転車に固定されているか、振動などで落ちてこないかを中心にチェックします。

可能なら、自宅の前を1kmくらい走って、走行に影響がないか、走行時に操作がしづらくないかも確認するとベストです。


安全性を重視したバイクパッキングを見てきました。

特別難しいことをしているわけではないのですが、「どこに何を入れるか」というだけでも安全面では大きく違います。

バイクパッキングは自転車キャンプの中でも楽しい部分でもあるので、安全性のルールを意識しつつ、自分なりのバイクパッキング術を生み出してみてください。

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